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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和24(れ)1566

事件名

 犯人蔵匿

裁判年月日

 昭和24年8月9日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第3巻9号1440頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和24年4月14日

判示事項

 一 證據調をした書類を公判調書に記載する方法
二 取寄決定をしないで證據調をしたことの正否
三 犯罪の嫌疑によつて捜査中の者と刑法第一〇三條の「罰金以上ノ罪ヲ犯シタル者」の意義

裁判要旨

 一 しかし公判廷において證據調をした書類を公判調書に記載するには必ずしも書類の一々を個別具體的に掲記する必要はない。ということは當裁判所の判例とするところである。
二 取寄記録が現にその裁判所に有する場合に取寄決定は不要であるということは、大審院時代からの判例であつて(大正四年(れ)二一〇一號、同一一年二月二一日判決、大正一二年(れ)六〇〇號、同年五月一一日判決)。本件においても問題の書類は、一連の事件記録として本件記録とともに原審裁判所に現存し、その證據調につき別段の手續を必要としないものであるから、原審が取寄決定をせずに直ちにその書類につき證據調をしたことは違法でない。
三 上告論旨第三點は、刑法第一〇三條は蔵匿の對象者「罰金以上ノ罪ヲ犯シタル者」と規定しているのであるから、その者が罪を犯したという事實が確定される迄は、犯人蔵匿は成立しない。と主張する。なるほどその趣旨の學説もないではないが、刑法第一〇三條は司法に關係する國權の作用を妨害する書を處罰しようとするのであるから、「罪ヲ犯シタル者」は犯罪の嫌疑によつて捜査中の者をも含むと解釋しなくては立法の目的を達し得ない。

参照法条

 舊刑訴法60條2項,舊刑訴法338條1項,舊刑訴法340條1項,刑法103條

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