裁判例検索

裁判例結果詳細

最高裁判所判例集

事件番号

 昭和24(れ)1750

事件名

 強盗、窃盗、住居侵入

裁判年月日

 昭和24年12月22日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第3巻12号2070頁

原審裁判所名

 仙台高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和24年5月7日

判示事項

 一 犯罪の日時、場所の判示の程度−共謀の日時場所の判示の要否−窃盗罪における被害物件の所有者の判示の程度
二 貨物列車から積荷を突落す方法による窃盗罪の成立

裁判要旨

 一 犯罪の日時、場所は罪となるべき事實ではないから、原判示のごとく犯行の同一性を特定し、相當法條を適用し得る程度の判示あれば足りるものであるこというまでもない。また共謀の日時、場所はこれを判示する必要のないものであるから、原判決が判示のごとく共謀したと判示した以上判示に欠くるところはない。また判示のように「國鐵當局係員の保管に係る列車の積荷」と判示した以上被害物件の保管者並びに所有者が被告人及び共犯者以外の「他人」であることまことに明白であるから窃盗罪の客体の判示として欠くるところはない。
二 原判決が判示事實として所論摘示のように判示したことは、所論のとおりである。しかし同判示就中「突落し以て窃盗し」との判示とその舉示の證據殊に原審公判廷における被告人Aの突落した後同被告人等兩名は間もなく突落した現場に行き品物をAの家に持ち歸つた旨の供述とを對照すれば、原判示は、積荷を列車外に突落し拾う計畫を實行して拾つた趣旨をも含むものと解することができる。しかのみならず、鐵道線路の地理現場の事情に精通していると認められる鐵道機關助士である被告人等が判示のごとく共謀計畫して判示のごとく定められた目的の地點で積荷を列車外に突落した本件においては、特をの事情の認められない限り、その目的の地點に積荷を突落したるきその物件は他人の支配を脱して被告人等凶暴者の實力支配内に置かれたものを見ることができる。されば、原判決の窃盗既遂の判示は違法なものとして原判決を破棄しなければならない欠點があるものとはいえない。

参照法条

 舊刑訴法360條1項,刑法235條

全文