裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和25(あ)1089
- 事件名
詐欺
- 裁判年月日
昭和27年3月5日
- 法廷名
最高裁判所大法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第6巻3号351頁
- 原審裁判所名
仙台高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和25年3月2日
- 判示事項
一 公訴犯罪事実につき裁判官に予断を生ぜしめるおそれのある事項を起訴状に記載することの違法性
二 詐欺の起訴状に詐欺の前科を記載することと裁判官の予断
- 裁判要旨
一 公訴犯罪事実について、裁判官に予断を生ぜしめるおそれのある事項は、起訴状に記載することは許されないのであつて、かかる事項を起訴状に記載したときは、これによつてすでに生じた違法性は、その性質上もはや治癒することができないものと解するを相当とする。
二 本件起訴状によれば、詐欺罪の公訴事実について、その冒頭に、「被告人は詐欺罪により既に二度処罰を受けたものであるが」と記載しているのであるが、このように詐欺の公訴について、詐欺の前科を記載することは、両者の関係からいつて、公訴犯罪事実につき、裁判官に予断を生ぜしめるおそれのある事項にあたると解しなければならない。もつとも被告人の前科であつても、それが、公訴犯罪事実の構成要件となつている場合(例えば常習累犯窃盗)又は公訴犯罪事実の内容となつている場合(例えば前科の事実を手段方法として恐喝)等は、公訴犯罪事実を示すのに必要であつて、これを一般の前科と同様に解することはできないからこれを記載することはもとより適法である。
- 参照法条
刑訴法256条,刑法246条