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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和25(あ)992

事件名

 昭和二二年勅令第一号違反

裁判年月日

 昭和26年4月10日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第5巻5号842頁

原審裁判所名

 高松高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和25年4月7日

判示事項

 一 昭和二二年勅令第一号(公職追放令)第一五条第一一条第一二条にいわゆる「政治上の活動」にあたる事例
二 公職追放令第一一条第一二条違反行為を処罰することと連合国最高司令官の要求
三 起訴状に記載された事実と刑訴法第二五六条第六項

裁判要旨

 一 現町長の反対派である町議会議員が、同町議会の議決を経た町民某に対する町民税及縣民税につき町長がその賦課額の計算上の過誤を認めこれを任意減額の決定をした行為は違法な行政処分であるとして同町長を相手取りその取消を求める行政訴訟を提起したところ該訴訟の提起の是非を論ずるため町民大会が開かれ、同町政が紛糾し町民の関心も昂まつて来たので前記町議会議員が自己の政治的立場を表明し一般町民の諒解支持を得ようとして町当局の措置を弾劾する趣旨のビラを印刷して同町民に配布した行為は昭和二二年勅令第一号第一五条第一一条第一二条等にいわゆる政治上の活動にあたる。
二 公職追放令第一一条第一二条所定の行為を厳格に禁止し、従つてこれに違反する行為を処罰すべきことは連合国最高司令官の要求であることは公職追放令の根拠となつた、昭和二一年一月四日附連合国最高司令官の「公務従事に適しない者の公職からの除去に関する覚書」第五項第六項に徴し明らかである。
三 本件起訴状に記載された、所論の各記載は、何れも公訴事実を起訴状に記載するにあたり、その訴因を明示するため犯罪構成要件にあたる事実自体若しくは、これと密接不可分の事実を記載したものであつて、被告人等の行為が罪名として記載された公職追放令第一一条若しくは第一二条にあたる所以を明にする為必要なものであるから起訴状に所論の如き記載があるからといつて、右起訴状は刑訴法第二五六条第六項に違反するものではない。

参照法条

 昭和22年勅令(1号公職追放令)15条,昭和22年勅令(1号公職追放令)12条,昭和22年勅令(1号公職追放令)11条,昭和22年勅令1号11条,昭和22年勅令1号12条,昭和22年勅令1号15条,憲法32条,昭和20年勅令542号,刑訴法256条6項

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