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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和25(れ)718

事件名

 恐喝、銃砲等所持禁止令

裁判年月日

 昭和26年2月23日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第5巻3号450頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和25年2月28日

判示事項

 一 法律が一定の規定の制定を最高裁判所に委任することの合憲性
二 刑訴施行法第一三条にいわゆる「裁判所の規則」の意議
三 公判期日に提出された被告人の上申書が旧刑訴法第三四二条にいわゆる証拠居類にあたらない事例

裁判要旨

 一 法律が一定の規定の制定を最高裁判所の規則に委任することは何ら憲法の禁ずるところでないことは、前記第法法廷判決(昭和二四年(れ)第二一二七号、同二五年一〇月二五日判決参照)の趣旨から容易にうかがわれるところである。
二 又論旨は刑訴施行法第一三条は規則の制定方を最高裁判所だけに委任せず下級裁判所にも委任しているのは憲法第七七条第三項に違反すると主張する。しかし前記刑訴規則施行規則第三条第三号は最高裁判所の制定した規則であつて下級裁判所の制定したものではないのであるから所論は本件規則の効力に無関係であるのみならず刑訴施行法第一三条に「裁判所の規則の定めるところによる」とあるいわゆる「裁判所の規則」とは憲法により司法裁判所に制定権を認められた規則の意であつて最高裁判所が憲法第七七条第一項により自ら設定する規則及び最高裁判所の委任に基き下級裁判所の制定する規則を指すことは右刑訴施行法第一三条の解釈上当然である。
三 右上申書なる書面前文を読めば右は被告人が検察官に対し恐喝の事実を自白するに至つた経緯を弁解し後日原審の公判廷において右経緯を立証し弁明しようとすることを予め裁判所に上申する趣旨の書面であつて、その後原審公判廷で裁判長が被告人弁護人に立証を促した際に同弁護人は証人としてA、B、Cの三名の喚問を申請している(右三名のうちB、Cは前記自白の経緯を立証するため申請したものと解される)のに拘らず前記上申書については裁判所に対し証拠調手続をとられたい旨促した形跡も在しないところを見ると右上申書は特に証拠として提出されたものとは認められない。してみれば右上申書は旧刑訴第三四二条にいわゆる証拠書類とはいえない。

参照法条

 憲法77条1項,刑訴施行法13条,起訴規則施行規則3条3号,旧刑訴法342条

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