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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和29(あ)2526

事件名

 窃盜

裁判年月日

 昭和34年12月11日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第13巻13号3195頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和29年3月30日

判示事項

 一 公訴事実の同一性の認められる事例−業務上横領と窃盗
二 同一事実に対する別訴の提起が二重起訴にあたらないとされた事例

裁判要旨

 一 被告人は家畜商を営むものであるが、昭和二五年七月二五日頃家畜商Aより同人所有の馬四頭の売却方を依頼され、同月二九日うち二頭をBに代金六万円で売却しこれを保管中、同月三〇日新潟県西蒲原郡a町C旅館において、内金三万円を着服して横領をしたとの業務上横領の訴因と、被告人は昭和二五年七月三新潟県西蒲原郡b村大字cD方から同人が一時Aより預つていたAの父E所有の牝馬鹿毛および青色各一頭を窃盗したとの窃取の訴因とは、事実の同一性を失わない。
二 第一次第一審において、右業務上横領の訴因を右窃盗の訴因に変更し後者につき有罪を認定したところ、第二審において、右は事実の同一性を欠くとしてこれを破棄、移送したため、第二次第一審において、右破棄判決の判断に従い検察官から右窃盗の訴因と同一内容の別訴が提起され、併合審理された結果、窃盗につき有罪、業務上横領はその不可罰的事後行為であるとして無罪が言渡されたが、第二次第二審を経た上告審において、右破棄判決の判断は誤りで事実の同一性があり、第二次第一審における別訴の提起は実質において訴因変更の趣旨であると解される以上、二重起訴の違法はない。

参照法条

 刑訴法312条,刑訴法256条,刑訴法338条3号,刑訴法337条,刑法253条,刑法235条

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