裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和23(オ)90
- 事件名
硬山搬出妨害禁止仮処分異議
- 裁判年月日
昭和28年5月7日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
民集 第7巻5号489頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和23年9月3日
- 判示事項
一 破棄差戻の上告判決に示された判断の上告裁判所に対する拘束力
二 上級裁判所の裁判の拘束力と憲法第七六条第三項
- 裁判要旨
一 最高裁判所も、上告審として一つの事件に関し、一定の事項につき終局的確定の目的をもつて判示したみずからの裁判の内容に拘束され、当該事件を破棄差戻後の判決に対する上告として、さらに再び審判する場合においても、特別の規定のないかぎりこれを変更することは許されない。
二 裁判所法第四条、民訴法第四〇七条第二項等の規定は、同一事件で差戻判決のあつた場合などにおいて上級審と下級審との間に、法律上又事実上の判断につきその見解を異にし相互に相譲らないようなことがあれば、事件の終局的解決を得られない結果となるので、これを防止する必要のため立法上とられた措置に外ならない。すなわち裁判の誤謬を是正し、裁判に対する国民の信頼を確保することを目的とする上訴制度とそれに即応して認められた審級制度との本旨に鑑み、かかる場合においては下級裁判所は上級裁判所の意見に拘束せらるべきものとしたのであつて、下級審の裁判に対する制約であること勿論であるが、その合理的根拠を有することも多言を要しないのである。のみならず下級審は上級審の判断の正当なることを認めこれに従つて裁判をなすことが通例であるから、上級審の裁判にかかる拘束力を認めたとしても常に必ずしも所論のように下級審裁判所の裁判官をして良必に反してその職務をとらしめる結果を招来するものとはいい得ない。
- 参照法条
民訴法407条1項,民訴法407条2項
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