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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和45(行ツ)60

事件名

 救済命令取消請求

裁判年月日

 昭和52年2月23日

法廷名

 最高裁判所大法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第31巻1号93頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 昭和43(行コ)4

原審裁判年月日

 昭和45年2月10日

判示事項

 一、労働委員会が不当労働行為為により雇された労働者の救済命令において賃金相当額の遡及支払を命ずる場合と右労働者が解雇期間中他の職に就いて得た収入額の控除

二、不当労働行為によつて解雇された労働者が解雇期間中他の職に就いて得た収入を控除しないで賃金相当額全額の遡及支払を命じた労働委員会の救済命令が違法とされた事例

裁判要旨

 一、労働委員会が不当労働行為により解雇された労働者の救済命令において解雇期間中の得べかりし賃金相当額の遡及支払を命ずる場合に、被解雇者が右期間中他の職に就いて収入を得ていたときは、労働委員会は、解雇により被解雇者の受けた個人的被害の救済の観点のみから右他収入額を機械的にそのまま控除すべきではなく、右解雇が使用者の事業所における労働者らの組合活動一般に対して与えた侵害を除去し正常な集団的労使関係秩序を回復、確保するという観点をもあわせ考慮して、合理的裁量により、右他収入の控除の要否及びその程度を決定しなければならない。
二、不当労働行為によつて解雇された労働者がタクシー運転手であつて、解雇後比較的短期間内に他のタクシー会社に運転手として雇用されて従前の賃金額に近い収入を得ており、また、タクシー運転手の同業他桂への転職が当時比較的頻繁かつ容易であつたことなどにより、解雇による被解雇者の打撃が軽少で、当該事業所における労働者らの組合活動意思に対する制約的効果にも通常の場合とかなり異なるものがあつたなど判示の事情がある場合には、右他収入の控除を全く不問に付して賃金相当額全額の遡及支払を命じた労働委員会の救済命令は、特段の理由のない限り、裁量権行使の合理的な限度を超えるものとして、違法である。

参照法条

 労働組合法7条1号,労働組合法27条4項

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