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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和51(オ)1338

事件名

 損害賠償

裁判年月日

 昭和56年1月27日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 その他

判例集等巻・号・頁

 民集 第35巻1号35頁

原審裁判所名

 福岡高等裁判所  那覇支部

原審事件番号

 昭和50(ネ)55

原審裁判年月日

 昭和51年10月8日

判示事項

 一 地方公共団体が一定内容の継続的な施策を決定し特定の者に対し右施策に適合する特定内容の活動を促す個別的具体的な勧告ないし勧誘をしたのち右施策を変更する場合と右特定の者に対する地方公共団体の不法行為責任
二 村が特定の工場の誘致を決定したのち新たに就任した村長において工場建設に対する協力を拒否する方針をとりこれによつて工場を設置しようとした者に損害を与えることが違法な加害行為にあたるものとされた事例

裁判要旨

 一 地方公共団体が定めた一定内容の継続的な施策が、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その特定内容の活動が相当長期にわたる右施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合において、右勧告等に動機づけられて右活動又はその準備活動に入つた者が右施策の変更により社会観念上看過することができない程度の積極的損害を被ることとなるときは、これにつき補償等の措置を講ずることなく右施策を変更した地方公共団体は、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、右の者に対する不法行為責任を免れない。
二 村長が特定の者に対しその者が村内で行う工場の建設・操業に全面的に協力することを言明し、村有地を工場敷地の一部として提供する旨の村議会の議決を経由したうえ積極的に工場建設を促し、右特定の者は右協力が継続するものと信じて工場敷地の確保・整備、機械設備の発注等を行い、村の側もこれを予想していたなど、判示の事実関係のもとにおいて、右工場建設に反対する村民の支持を得て当選した新村長が、右特定の者に生ずべき多額の積極的損害について補償等の措置を講ずることなく、右工場建設の途中でこれに対する協力を拒否した場合には、右協力拒否は、やむをえない客観的事情が存するのでない限り、右特定の者に対する違法な加害行為たることを免れない。

参照法条

 民法709条,国家賠償法1条1項

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