裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和23(れ)584
- 事件名
殺人、強姦致死、強姦、窃盗
- 裁判年月日
昭和23年11月16日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第2巻12号1535頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和23年2月27日
- 判示事項
一 警察における取調の違法と上告理由
二 強姦行爲の未遂と強姦致死罪の既遂
三 死體損壞罪と死體姦淫
四 強姦により被害者の身體を傷害し更にこれを死亡せしめた場合の擬律
- 裁判要旨
一 假りに警察の取調が「脅迫強問」にょつて爲されたとしても、その取調の結果を記載した書類は、原判決において證據として採用されてはいないのであるから、そのことは適法な上告理由とはならない。
二 およそ婦女を姦淫する爲の手段として用いた暴行の結果その婦女を死亡させたときは、姦淫行爲の既遂たると未遂たるとを問わず、強姦致死罪が成立し、婦女の死亡後、これを姦するが如き行爲は、右強姦致死罪の成立に何等のかかわりはない。
三 刑法第一九〇條に規定する死體損壞罪は、死體を物理的に損傷、毀壞する場合を云うのであつて、これを姦するが如き行爲を包含しないと解すべきものである。
四 結果的加重犯の場合において、被害者の身體を傷害し、更にこれを死亡させた以上、右傷害の事實は致死の事實に吸收され、重き致死の結果のみに對して成立する結果的加重犯の責任を問うべきものである。從つて、原判決が判示致傷の點について擬律せず、所論の如く、強姦致死罪の規定に問疑したのは、まさに、その然かる所であつて、原判決には毫も擬律錯誤の違法あるを見ない。
- 参照法条
憲法第38條2項,刑訴應急措置法10條2項,刑訴法411條,刑法181條,刑法177條,刑法179條,刑法190條,刑法205條
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