裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和24(れ)1839
- 事件名
食糧緊急措置令違反、食糧管理法違反
- 裁判年月日
昭和25年1月19日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第4巻1号23頁
- 原審裁判所名
名古屋高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和24年2月1日
- 判示事項
一 食糧緊急措置令の合憲性(憲法第二一條)
二 言論の自由と食糧緊急措置令第一一條
- 裁判要旨
一 國民が政策を批判し、その失敗を攻撃することは、その方法が公安を害しない限り、言論その他一切の表現の自由に屬するのであらうが、しかし、現今における貧困な食糧事情の下に國家が國民全体の主要食糧を確保するために制定した食糧管理法所期の目的の遂行を期するために定められた同法の規定に基く命令による主要食糧の政府に對する賣渡に關し、これを爲さざることを煽動するが如きことは、國民として負擔する法律上の重要な義務の不履行を從慂し、公共の福祉を害するものであるから、新憲法の保障する言論の自由の限界を逸脱し社會生活において道義的に責むべきものであり、從つてこれを犯罪として處罰する食糧緊急措置令第一一條は新憲法第二一條の條規に反するものでないことは當裁判所大法廷の判例(昭和二三年(れ)第一三〇八號同二四年五月一八日大法廷判決判例集第三卷第六號第八三九頁以下參照)とするところである。
二 村の農家組合長及び食糧調整委員外數名が集合して供米のことについて話合つている席上で同人等一同に對し「われわれ農家は自主的檢見による實收量から一人當り四合の保有米を確保してその残りを供出すればよい」旨供米を阻害するようなことをいつて主要食糧を政府に賣渡さないことを煽動したことは、憲法所定の言論の自由の範圍を逸脱し食糧緊急措置令第一一條の罪が成立する。
- 参照法条
憲法21條,憲法12條,食糧緊急措置措置令11條,食糧緊急措置令第11條
- 全文