裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和24(れ)1946
- 事件名
貿易等臨時措置令違反、関税法の罰則の特例に関する件違反、同幇助
- 裁判年月日
昭和25年1月19日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第4巻1号30頁
- 原審裁判所名
名古屋高等裁判所 金沢支部
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和24年6月10日
- 判示事項
一 關税法の罰則等の特例に關する勅令第一條第二項にいわゆる「輸出しようとした者」に該當する一例
二 證據調を經ない證據を他の證據と綜合して罪事犯實を認定した違法があつても原判決に影響を及ぼなさい場合
- 裁判要旨
一 原判決の認定した本件犯罪事實は、要するに、被告人A、同Bは、原審相被告人C、同D及び第一審相被告人Eと共謀の上相共に物資を石川縣a港から船積みして朝鮮に密輸出しようと企て、被告人Aにおいて、判示のごとく昭和二二年一一月中右目的に使用するため機帆船F丸を買い取り、その修理艤装を進め同年一二月中旬頃迄の間に燃料その他消耗品の調辨、船員の雇入れなど航海準備を遂行する一面同被告人又は前記被告人等が京阪神又は東京都等、で買入れ又は委託を受けた判示多數の物資を、同日半頃天候次第出航豫定のF丸に船積するためその頃までに七尾市に搬入の上同市内に保管し被告人等はその頃同市内において天候の回復する迄船積及び出航を待機していたというのである。されば、被告人等の所爲は輸出のための單なる準備行爲の程度を超えて船積出航行爲に接着近接する行爲の段階にまで到達したものであるから、關税法の罰則等の特例に關する勅令第一條第二項にいわゆる「輸出しようとした者」に該當するものといわなければならない。
二 適法な證據調を經ない證據をその他の證據と綜合して犯罪事實を認定した違法があつても、その證據調を經ない證據が、證明すべき事實に對し直接の證據である信書が相被告人の居室から適法に發見押收されたことを證明するに過ぎないもので、それを除外してもその事實を認めることができ、要するに掲げる必要のない證據である場合には、前記の違法は、原判決に影響を及ぼさないものというべきである。
- 参照法条
關税法の罰則等の特例に關する昭和21年勅令277號1條2項,舊刑訴法336條,舊刑訴法409條,舊刑訴法411條
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