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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和29(あ)3005

事件名

 業務上横領、同幇助

裁判年月日

 昭和33年9月19日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第12巻13号3047頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和29年7月10日

判示事項

 いわゆる納金ストが不法領得の意思を欠くものとして業務上横領罪を構成しないとされた事例。

裁判要旨

 労働争議の手段として、会社のために集金した現金を、会社に納入せず、一時保管の意味で、労働組合側に属する個人名義で預金しておくいわゆる納金ストにおいて、組合側が銀行に対し納金ストの経緯を説明し、争議解決後は直ちに預金を会社に返還すること、また争議中は預金の引出しは一切これを行わないことの条件で、組合代表者名義で預金したい旨を申出た事実、組合側は会社側利益代表者に対し納金ストを実施している旨を何回となく伝えているという事実、当該預金が従来会社と取引関係のある銀行にされていた事実、会社側がいわゆる業務命令を発するや、組合側においても、納金スト中止指令を出し、該預金はそのまま全額が会社口座に返還された事実が認められるときは、右預金は専ら会社のためにする保管の趣旨の下にされたものということができ、不法領得の意思を欠くものとして業務上横領罪を構成しない。

参照法条

 刑法253条

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