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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和43(あ)1614

事件名

 建造物侵入、暴力行為等処罰に関する法律違反

裁判年月日

 昭和51年5月21日

法廷名

 最高裁判所大法廷

裁判種別

 判決

結果

 その他

判例集等巻・号・頁

 刑集 第30巻5号615頁

原審裁判所名

 札幌高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和43年6月26日

判示事項

 一、地方教育行政の組織及び運営に関する法律五四条二項と昭和三六年度全国中学校一せい学力調査の手続上の適法性
二、憲法と子どもに対する教育内容の決定権能の帰属
三、教育行政機関の法令に基づく教育の内容及び方法の規制と教育基本法一〇条
四、昭和三六年当時の中学校学習指導要領(昭和三三年文部省告示第八一号)の効力
五、昭和三六年度全国中学校一せい学力調査と教育基本法一〇条
六、教育の地方自治と昭和三六年度全国中学校一せい学力調査の適法性

裁判要旨

 一、地方教育行政の組織及び運営に関する法律五四条二項は、文部大臣に対し、昭和三六年度全国中学生一せい学力調査のような調査の実施を教育委員会に要求する権限を与えるものではないが、右規定を根拠とする文部大臣の右学力調査の実施の要求に応じて教育委員会がした実施行為は、そのために手続上違法となるものではない。
二、憲法上、親は一定範囲においてその子女の教育の自由をもち、また、私学教育の自由及び教師の教授の自由も限られた範囲において認められるが、それ以外の領域においては、国は、子ども自身の利益の擁護のため、又は子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため、必要かつ相当と認められる範囲において、子どもの教育内容を決定する権能を有する。
三、教育行政機関が法令に基づき教育の内容及び方法に関して許容される目的のために必要かつ合理的と認められる規制を施すことは、必ずしも教育基本法一〇条の禁止するところではない。
四、昭和三六年当時の中学校学習指導要領(昭和三三年文部省告示第八一号)は、全体としてみた場合、中学校における教育課程に関し、教育の機会均等の確保及び全国的な一定水準の維持の目的のために必要かつ合理的と認められる大綱的な遵守基準を設定したものとして、有効である。
五、昭和三六年度全国中学校一せい学力調査は、教育基本法一〇条一項にいう教育に対する「不当な支配」として同条に違反するものではない。
六、文部大臣が地方教育行政の組織及び運営に関する法律五四条二項の規定を根拠として教育委員会に対してした昭和三六年度全国中学校一せい学力調査の実施の要求は、教育の地方自治の原則に違反するが、右要求に応じてした教育委員会の調査実施行為自体は、そのために右原則に違反して違法となるものではない。

参照法条

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律23条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律32条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律43条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律54条2項,刑法95条1項,憲法13条,憲法23条,憲法26条,憲法92条,教育基本法 前文,教育基本法10条,学校教育法38条,学校教育法106条,学校教育法施行規則54条の2

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