裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成8(行ツ)28
- 事件名
珠洲市長選挙における選挙の効力に関する裁決取消、選挙無効
- 裁判年月日
平成8年5月31日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
民集 第50巻6号1360頁
- 原審裁判所名
名古屋高等裁判所 金沢支部
- 原審事件番号
平成5(行ケ)1
- 原審裁判年月日
平成7年12月11日
- 判示事項
一 選挙期日に選挙人が投票区のある市町村の区域外に旅行中であるという事由が不在者投票事由に該当する場合
二 不在者投票の管理執行に関する違法が不在者投票全体についての公正を疑わしめるに足りるものであって選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるとされた事例
- 裁判要旨
一 選挙期日に選挙人が投票区のある市町村の区域外に旅行中であるという事由は、その旅行が儀礼等の理由から社会通念上必要な用務のための旅行であるか、当日以外に日程を変更することが著しく困難であるなどの事情が認められる場合に限り、公職選挙法四九条一項二号所定の「やむを得ない用務」のためのものとして不在者投票事由に該当する。
二 選挙管理委員会の委員長が選挙人の申し立てた事由が不在者投票事由に該当するかどうかの審査義務を尽くすことなく不在者投票を認め、投票記載所では実質的に立会人を欠いた状況下で投票がされた例もあるなどのずさんな不在者投票の管理執行手続の下で、全投票者の約一割に当たる一七一三人という多数の選挙人が不在者投票を行い、このうち、選挙人が申し立てた事由が不在者投票事由に該当しないことが明らかであるか又は不在者投票事由に該当すると認めるには足りないにもかかわらず、不在者投票が受理されたものが六六八票にも上ったことに加え、当選者の得票に占める不在者投票の割合が一二・五パーセントで落選者のそれが六・五パーセントであったなど判示の事実関係の下においては、不在者投票の管理執行に関する違法は、不在者投票全体についての公正を疑わしめるに足りるものであって、不在者投票の総数が当選者と落選者との得票差を上回っている以上、選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるものというべきである。
- 参照法条
公職選挙法49条1項,公職選挙法205条1項,公職選挙法施行令53条1項,公職選挙法施行令56条2項,公職選挙法施行令59条の4第3項,公職選挙法施行規則10条の5別記第13号様式の7
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