裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和28(オ)849
- 事件名
損害賠償請求
- 裁判年月日
昭和32年1月31日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
民集 第11巻1号170頁
- 原審裁判所名
高松高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和28年7月8日
- 判示事項
一 本権の訴における敗訴者は不法行為についても起訴の時から悪意の占有者とみなされるか
二 後訴における主張が前訴の既判力に牴触しない一事例
三 不法行為による物の滅失毀損と損害賠償額算定の基準時期
- 裁判要旨
一 係争物件を自己の所有と信じ占有していた者が、本権の訴において敗訴したからとて、右敗訴者は、当然には、不法行為の関係についてまで、起訴の時から悪意の占有者とみなされるものではない。
二 甲が乙を相手として船舶の所有権確認、同引渡請求の訴(前訴)につき勝訴の確定判決を得た上、さらに乙を相手として、右船舶の滅失毀損による不法行為を理由とし損害賠償請求の訴(後訴)を提起した場合、たとえ前訴において、乙が右船舶を現に占有している事実を認めていたとしても、後訴において、乙が、右船舶は前訴の口頭弁論終結前乙において売却処分し、その頃右船舶が滅失毀損したと主張することは、なんら前訴の既判力に牴触しない。
三 不法行為による物の滅失毀損に対する損害賠償の金額は、特段の事由のないかぎり、滅失毀損当時の交換価格により定むべきである。
- 参照法条
民法189条,民法709条,民訴法199条1項,民訴法709条
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