裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和36(あ)102
- 事件名
詐欺、職業安定法違反、恐喝同未遂、暴行、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反
- 裁判年月日
昭和37年6月5日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
決定
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
集刑 第143号15頁
- 原審裁判所名
広島高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和35年12月15日
- 判示事項
訴因、罰条の変更手続を要しないとされた事例―職業安定法第六三条第一項と同法第六四条第一号第三二条第一項本文刑法第六〇条
- 裁判要旨
一 被告人は甲女と同棲中同女を働かせてその周旋料を取得しようと企て肩書住居において同女に対し短刀を示しながら「逃げたら只ではおかんぞ」と申し向けて同女を脅迫し昭和三四年二月二八日頃料理店AことBに対し、同女を同人方女給として雇入方斡旋し、もつて脅迫による職業紹介を行つたものであるとの職業安定法六三条一項該当の公訴事実と被告人は相被告人と共謀の上、法定の除外事由がないのに営利の目的で昭和三四年二月二八日頃右山本に対し右甲女を仲居として雇用するよう斡旋し、もつて有料の職業紹介事業を行つたものであるとの、職業安定法六四条一号三二条一項本文刑法六〇条該当の第一審判決認定事実とは基本的事業関係においては同一であると認められるので、いわゆる公訴事実の同一性には何ら欠くるところはない。
二 本件における事実関係並びに訴訟の経過にかんがみると、前者の罪として起訴された訴因を右脅迫という要件を欠如する後者の罪、しかも起訴にかかる同種の職業犯の一部として認定することは、被告人の防禦に実質的な不利益を与える虞れはなく、いわゆる訴因、罰条の変更手続を要しない場合であると解すべく、第一審裁判所の訴訟手続には所論の如き違法は勿論何ら違法の点は存しない。
- 参照法条
刑訴法256条,刑訴法312条,職業安定法63条1項,職業安定法64条1号,職業安定法32条,刑法60条
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