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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和39(あ)1778

事件名

 器物損壊

裁判年月日

 昭和40年12月14日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 決定

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集刑 第157号433頁

原審裁判所名

 広島高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和39年6月30日

判示事項

 刑訴法第四一一条にあたらないとされた事例。―器物損壊罪において第一審が被害者を誤認しかつ訴訟条件を欠くのに有罪とした場合の控訴審の処置―

裁判要旨

 記録によれば、一審判決が、本件器物損壊の被害者はAであると認定し、同人からの適法な告訴がないのに、被告人らを有罪としたのに対し、原判決は、被害者はBであり、同人からの適法な告訴があつたことが認められるから、一審判決の右事実誤認は、犯罪の成否に影響を及ぼさない事項に属するとして、被告人らの控訴を棄却したことが認められる。しかし、一審判決の認定した事実を基礎とすれば、本件は訴訟条件を欠き、公訴棄却の裁判がなされるべき場合であつたのであるから、これを目して犯罪の成否に影響を及ぼさない事実誤認として、そのまま控訴を棄却した原審の処置は、相当ではなかつたといわなければならない。しかしながら、原審の認定するところによれば、本件被害者はBであり、また、その認定を肯認するに足りる証拠も存在する。そうだとすれば、訴訟条件も完備しているのであるから、原判決の前記判断のあやまりも、未だ判決に影響を及ぼすべき法令違反とはいえない。

参照法条

 刑訴法411条,刑法261条,刑法264条

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