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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和46(あ)1878

事件名

 業務上過失致死、道路交通法違反

裁判年月日

 昭和47年4月21日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 決定

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集刑 第184号163頁

原審裁判所名

 福岡高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和46年7月28日

判示事項

 被告人の過失と被害者の致死の結果との間に因果関係があるとされた事例

裁判要旨

 一 第一審判決判示第一の事実につき、被告人の過失と被害者の致死の結果との間に因果関係を認めた原判決の判断は、その認定の事実関係のもとにおいては、正当である。
二 (原判示の要旨)被告人は深夜普通乗用自動車を運転して原判示道路を時速約四〇キロメートルで進行中、対向車の前照灯に眩惑されたにもかかわらず減速、徐行の措置をとらなかつた過失により、道路を横断歩行中のAの発見がおくれ、自車右前部を同女に衝突させ対向車線上に跳ねとばして両下腿骨骨折等の傷害を負わせたこと、被告人が右事故を起こしたのにそのままその場を立ち去つたため、対向車線上に転倒横臥していた被害者はその後間もなく対向車線上を反対方向から進行してきたB運転の普通自動車に轢過され、外傷性心臓(右心房)破裂により死亡したことが明らかである。
三 右のように被害者の死亡した直接の原因は被告人運転の自動車の衝突によるものではなく、B運転の自動車の轢過によつて生じたものであることは所論指摘のとおりであるけれども、本件道路は商店街にあつて直線道路で見通しはよいのであるが、深夜であつたため照明は薄暗くなつており、昼間程には自動車の交通は頻繁ではないが、なお、かなりの交通量があつたと認められるから、自己の過失ある行為によつて路上に転倒した被害者をそのまま放置するにおいては、被告人が逃走したあとで現場付近を通行する自動車によつて轢過される虞れの強いことは容易に予測されるところであるから、被告人の前記過失ある行為と被害者の死亡との間には因果関係があるというべきである。

参照法条

 刑法第1編第7章,刑法211条

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