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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和38(あ)818

事件名

 破壊活動防止法違反

裁判年月日

 昭和42年7月20日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 決定

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集刑 第163号913頁

原審裁判所名

 名古屋高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和37年12月24日

判示事項

 破壊活動防止法第三八条第二項第二号所定の文書頒布罪にあたらないとされた事例

裁判要旨

 原判決および同判決が是認する第一審判決が適法に認定したところによれば、被告人らは、日本共産党員もしくはその同調者であるが、これまで内乱の実行手段ないし準備行為を企図したことは全然なく、本件軍事文書についてもその存在さえ知らなかつたところ、党員のAに命令され、その使者としてこれを労働争議中のB鉄工所の工員に頒布するに際し、右文書の内容を一瞥し、あるいは相被告人より聞き、または臆測してこれを了知した程度にすぎず、被告人らの意図は、もつぱら同工員をして自発的に内乱に立ち上らせることにあつたというのである。さらに、右各判決は、B鉄工所の工員が日本共産党員もしくはその同調者であり、本件軍事文書の指令に服すべき関係にあつた事実は認められず、また右文書の頒布により内乱罪の実行されうべき可能性ないし蓋然性が客観的に存在していたことは認められないとしているのである。以上の事実関係のもとにおいては、被告人らの本件行為が、破壊活動防止法第三八条第二項第二号の罪にあたらないとした原審の判断は、結局正当である。

参照法条

 破壊活動防止法38条2項2号

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