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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和42(あ)2877

事件名

 有印私文書偽造、同行使、詐欺、横領

裁判年月日

 昭和43年7月19日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄自判

判例集等巻・号・頁

 集刑 第168号609頁

原審裁判所名

 福岡高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和42年11月22日

判示事項

 刑訴法第四一一条第二号に該当するとして原判決破棄刑の執行猶予が言い渡された事例

裁判要旨

 被告人は炭坑事故のため負傷し生活保護を受けている者であり、三三才の病妻と二児を扶養し、三九才の今日まで一切犯歴がなく、被告人が副会長をしていた生活保護者の互助会の会員の中で生活苦のため米代の支払えない者が数名おり、被告人が金融業者Kから高利で一五万円を借りうけて右の支払にあててやつたが、その金利に追われ生活苦に陥つたのが本件犯行の動機であり、本件の被害総額は約一六万円であるが、実質的な被害者はKただひとりであつて、犯行の発覚前すでに同人との間に示談が成立しており、弁償の担保として被告人所有の家屋一棟を提供している等の諸事情(判文参照)を考慮すると、原判決が被告人を懲役六月の実刑に処したのは、量刑が甚しく不当であつて、これを破棄しなければ著しく正義に反する。

参照法条

 刑訴法411条2号,刑訴法381条,刑法159条1項,刑法161条1項,刑法246条1項,刑法252条1項

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