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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和46(オ)640

事件名

 建物明渡請求

裁判年月日

 昭和46年11月4日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集民 第104号137頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 昭和44(ネ)822

原審裁判年月日

 昭和46年4月27日

判示事項

 一、建物の無断転貸借に信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事由があるとされた事例
二、建物賃貸借の解約申入れに正当の事由がないとされた事例

裁判要旨

 一、建物の無断転借人が、賃借人およびその親族らにより税務対策上設立された有限会社で、同一営業を継続し建物の使用状況に変更がないなど原判示の事実関係(原判決理由参照)のもとにおいては、転貸借につき、賃貸人に対する信頼関係を破壊するものと認めるに足りない特段の事由があり、これを理由とする賃貸借契約の解除は許されない。
(大隅裁判官の意見がある。転借人の法人格は形骸にすぎず、転貸借はない旨。)
二、建設業者たる賃貸人は、賃貸建物を取りこわして社屋等を建設する計画を有するが、その建設が営業上不可欠というわけではなく、他方、賃借人は、他に生活維持の手段を有するが、賃借建物で営む食肉販売業を最も主要な収入源とし、右建物の立地条件はその営業上重要なものであり、これと同等の収益を得られる移転先を求めることは困難な状況にあつて、賃貸人の申し出た五〇〇万円の立退料の支払をもつてしてもこれを補うに足りないなど原判示の事実関係(原判決理由参照)があるときは、賃貸人のした賃貸借解約の申入れには正当の事由があるものとは認められない。

参照法条

 民法612条,借家法1条ノ2

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