裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成14(受)989
- 事件名
損害賠償請求事件
- 裁判年月日
平成17年9月8日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
集民 第217号681頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成13(ネ)4138
- 原審裁判年月日
平成14年3月19日
- 判示事項
帝王切開術による分娩を強く希望していた夫婦に経膣分娩を勧めた医師の説明が同夫婦に対して経膣分娩の場合の危険性を理解した上で経膣分娩を受け入れるか否かについて判断する機会を与えるべき義務を尽くしたものとはいえないとされた事例
- 裁判要旨
胎位が骨盤位であることなどから帝王切開術による分娩を強く希望する旨を担当医師に伝えていた夫婦が,担当医師の説明により経膣分娩を受け入れたところ,経膣分娩により出生した子が分娩後間もなく死亡した場合につき,帝王切開術を希望する旨の申出には医学的知見に照らし相応の理由があったこと,担当医師は,一般的な経膣分娩の危険性について一応の説明はしたものの,胎児の最新の状態と経膣分娩の選択理由を十分に説明しなかった上,分娩中に何か起こったらすぐにでも帝王切開術に移れるから心配はないなどと異常事態が生じた場合の経膣分娩から帝王切開術への移行について誤解を与えるような説明をしたことなど判示の事情の下においては,担当医師の説明は,上記夫婦に対し,胎児の最新状態を認識し,経膣分娩の場合の危険性を具体的に理解した上で,担当医師の下で経膣分娩を受け入れるか否かについて判断する機会を与えるべき義務を尽くしたものとはいえない。
- 参照法条
民法415条,民法709条
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