裁判例検索

裁判例結果詳細

最高裁判所判例集

事件番号

 平成15(受)900

事件名

 損害賠償等請求事件

裁判年月日

 平成17年6月16日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄自判

判例集等巻・号・頁

 集民 第217号139頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成14(ネ)1133

原審裁判年月日

 平成15年2月26日

判示事項

 我が国における加熱血液製剤の製造承認等に関する雑誌記者等の執筆者がその記事等に摘示されている事実を真実であると信じたことには相当の理由があるとして名誉毀損による不法行為の成立が否定された事例

裁判要旨

 血液学者で加熱血液製剤の治験統括医であった甲が血液製剤市場の最大手で加熱血液製剤の開発が遅れていた製薬会社に合わせて加熱血液製剤の治験を遅らせ,その結果,我が国における加熱血液製剤の製造承認が米国より2年4か月遅れた事実,治験の時期に甲が製薬会社各社から資金提供を受けていた事実等が,乙の執筆した雑誌記事等において摘示された場合につき,甲が新聞社のインタビュー等に対し,開発が遅れていた上記製薬会社に合わせて加熱血液製剤の治験を遅らせたことを認める旨の発言をしていたこと,甲の上記発言内容を裏付ける事実が存在したこと,甲が講演において自己が設立の準備をしている血友病治療にかかわる財団法人への寄付を募っている旨の発言をしており,同財団法人への寄付を製薬会社各社に要求しているとのうわさがあるとの指摘に対してもその事実を否定しなかったことなど判示の事実関係の下においては,乙が上記記事等において摘示した事実を真実であると信じたことには相当の理由があり,名誉毀損による不法行為の成立は否定される。

参照法条

 民法709条,刑法230条の2第1項

全文