裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和60(オ)364
- 事件名
約束手形金、民訴法一九八条二項の原状回復申立
- 裁判年月日
昭和61年11月18日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
集民 第149号127頁
- 原審裁判所名
福岡高等裁判所
- 原審事件番号
昭和59(ネ)265
- 原審裁判年月日
昭和59年12月25日
- 判示事項
被用者のした手形偽造行為が民法七一五条一項にいう「事業ノ執行ニ付キ」した行為に当たるとされた事例
- 裁判要旨
道路舗装工事の請負等を業とする株式会社甲の支店としての実質を有する戊営業所の所長乙の依頼に基づき、丙が、所長代理の肩書で同営業所に常駐し、主として官公庁発注の道路舗装工事について、入札業務、営業所長名義による請負契約の締結、工事代金の回収など、乙の権限に属する業務に従事し、右工事代金の回収等のための約束手形の授受をもその職務とし、入札参加書類等の作成のため営業所長印を任意使用することを任せられていた場合には、丙が、右営業所の取引先であり、自ら経営の実権を握つていた丁の資金繰り等のため、丁振出の約束手形を取引先に割り引かせて資金を作る目的のもとに、丁振出の約束手形に、右営業所長印等を冒用して「甲株式会社戊営業所長乙」名義の裏書を偽造したうえ、自己名義の第二裏書をして右手形を割引のため第三者に交付した行為は、甲の内部規程上は乙に手形行為の権限が与えられていなかつたとしても、その行為の外形から客観的に観察すると丙の職務の範囲内の行為というべきであり、民法七一五条一項にいう「事業ノ執行ニ付キ」なされたものと認めるのが相当である。
- 参照法条
民法715条1項
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