裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和61(オ)851
- 事件名
損害賠償
- 裁判年月日
平成3年5月31日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
集民 第163号47頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
昭和59(ネ)1383
- 原審裁判年月日
昭和61年4月17日
- 判示事項
一 刑訴法三九条三項の規定にいう「捜査のため必要があるとき」に当たる場合
二 弁護人からの被疑者との接見の申出が接見の日時等の指定権限のない捜査官に対してされた場合の措置
三 弁護人からの被疑者との接見の申出に対し応答が遅れても違法とはいえないとされた事例
- 裁判要旨
一 刑訴法三九条三項の規定にいう「捜査のため必要があるとき」には、捜査機関が弁護人から被疑者との接見の申出を受けた時に、間近い時に被疑者を取り調べたり、実況見分、検証等に立ち会わせたりするなどの確実な予定があって、弁護人の必要とする接見を認めたのでは右取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合が含まれる。
二 弁護人から被疑者との接見の申出を受けた者が接見の日時等の指定につき権限のある捜査官でないときは、右申出を受けた者が権限のある捜査官に連絡しその措置について指示を受けるなどの手続を要する間、弁護人が待機させられ、また、その間接見ができなかったとしても、それが合理的な範囲内にとどまる限り許される。
三 弁護人が事前に連絡しないで警察署に赴き、代用監獄に留置中の被疑者との接見を申し出たところ、右申出を受けたのが留置主任官であったため、同人が当該事件の捜査に当たっていた他の警察署捜査主任官を通じて検察官に連絡して指示を求めるなどの一連の手続のために約二八分を要し、その間に弁護人が自発的に警察署を退去してしまったなど判示の事情があるときは、右の間、捜査機関が弁護人と被疑者との接見交通を許さなかったことになるとしても、国家賠償法一条一項にいう違法な行為に当たらない。
- 参照法条
国家賠償法1条1項,刑訴法39条1項,刑訴法39条3項,憲法34条前段
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