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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和54(オ)1386

事件名

 損害賠償

裁判年月日

 昭和57年3月30日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集民 第135号563頁

原審裁判所名

 名古屋高等裁判所

原審事件番号

 昭和49(ネ)221

原審裁判年月日

 昭和54年9月21日

判示事項

 一 昭和四四年一二月出生した未熟児の観護療養を担当した眼科医師の副腎皮質ホルモン剤等の投与の措置について過失がないとされた事例
二 昭和四四年一二月出生した未熟児の観護療養を担当した眼科医師の光凝固治療に関する説明指導義務及び転医指示義務がないとされた事例

裁判要旨

 一 昭和四四年一二月出生した未熟児の観護療養が行われた昭和四五年初めにおいては副腎皮質ホルモン等の薬物療法が有効視されていたとしても、原審口頭弁論終結の昭和五三年六月当時においては右薬物療法は積極的な治療効果がないものと認められるなど、判示の事実関係のもとにおいては、眼科医師が右未熟児に対して採つた薬物投与についての診療上の過失は認められない。
二 昭和四四年一二月出生した未熟児の観護療養が行われた昭和四五年初めにおいては、光凝固法は、未熟児網膜症についての先駆的研究家の間で漸く実験的に試みられ始めたという状況であつて、光凝固治療を一般的に実施することができる状態ではなく、患児を光凝固治療の実施可能な医療施設へ転医させるにしても、転医の時期を的確に判断することを一般的に期待することは無理な状況であつたなど、判示の事実関係のもとにおいては、右未熟児の観護療養を担当した眼科医師には光凝固治療についての説明指導義務及び転医指示義務はない。

参照法条

 民法415条,民法709条,医師法23条

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