裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和28(あ)611
- 事件名
窃盗
- 裁判年月日
昭和29年6月29日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
集刑 第96号587頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和27年10月20日
- 判示事項
窃盗罪の既遂となる時期
- 裁判要旨
論旨は窃盗既遂の時について原判決の下した判断が大審院の判例に違反すると主張する。しかし当裁判所の判例(昭和二三年(れ)六七五号同年一〇月二三日第二小法廷判決、昭和二三年(れ)一一三二号同年一二月二七日第一小法廷判決等)はいずれも、不法領得の意思をもつて事実上他人の支配内にある物件を自己の支配内に移したときは茲に窃盗罪は既遂の域に達するものであつて、必ずしも犯人がこれを自由に処分し得べき安全な位置におくことを必要としないとしている。本体において原判決は、「被告人がAのズボン右後ポケツト内より判示財布を抜きとりこれを被告人の手中に収めた」と認定している。この事実は判例のいわゆる「自己の支配内に移した」ことを意味するものと認められる。従つて原判決がこれを窃盗罪の既遂としたことは判例に違反するものでなく、論旨は理由がない。
- 参照法条
刑法235条
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