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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和37(あ)2558

事件名

 暴行、公務執行妨害

裁判年月日

 昭和39年10月27日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集刑 第152号1131頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和37年7月11日

判示事項

 現行犯人としての逮捕が適法であると認められた事例。

裁判要旨

 一 本件逮捕が適法である旨の原判断の結論は正当である。
二 (原審判断の要旨)被告人は現行犯人として逮捕されたものではなく、任意同行したものであると主張するが、浅草警察署勤務の甲乙外二名の警察官は警察庁本部からのaのクラブ「A」で若い者が乱暴しているから急行せよとの指令により右クラブに行き、入口で経営者より被告人がグラス二個を床に投げつけ損壊したとの説明を受けた様、乙外一名の巡査が店内地下室にはいつたところ、被告人の坐つているテーブルの上にビール瓶が横に倒れており、グラスの破片は既に取片づけてあつたけれども附近にビールが散乱しており、従業員が被告人を指示して被告人が乱暴した旨を述べたので、右両巡査は被告人に対し「コツプを投げたことで本署に行つて貰いたい」と告げたところ被告人は「俺が何を悪いことをした、逮捕するなら令状を持つて来い」等の暴言をはいてなかなか応ぜず、漸く甲巡査部長の説得によつて同行に応じたのであるが、「ああ警察に行つてやるよ」等といつて相変らず不遜の態度を示し、自動車に乗る際も「お前も一緒に乗れ」といつて甲の袖を引いたりして、素直に同行に応じたものではなかつたことが認められるのであつて、右警察官が被告人に対し「逮捕する」との言葉を用いたかどうかについては必ずしも明確ではないが、被告人は警察官の強制によつてその要求は拒否し難くこれに応じたものであつて、決して被告人の意思にもとづき警察官と同道して警察に任意出頭することを承諾したものとは認められないから、警察官に逮捕されたというべきで、右逮捕は刑訴法第二一二条第二項第一号の要件を具備するものと認められる。

参照法条

 刑訴法212条,刑法95条1項,刑法208条

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