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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和41(オ)412

事件名

 不当利得返還請求

裁判年月日

 昭和43年12月17日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集民 第93号625頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 昭和39(ネ)477

原審裁判年月日

 昭和40年12月25日

判示事項

 民法第一一〇条の表見代理の成立が認められた事例

裁判要旨

 銀行に対する定期預金の預金者甲が該定期預金証書の裏面の弁済受領欄に預金名義人の受領印を押捺して商品取引業者乙に交付し、甲乙間に締結された商品取引委託契約について、将来、清算の結果甲の乙に対する右契約上の債務の存在が確定したときに乙が甲に代つて右定期預金を払戻し、かつ、該払戻金を右債務の弁済に充当する権限を授与した場合には、特段の事情のないかぎり、甲は乙に対し、右債務を決済するため、乙が第三者に対し、甲に代つて預金の払戻を受け、該払戻金を第三者自身が取得する代理権をも授与したものと解するのが相当であり、右証書の受領欄に前記受領印が存在する等判示事情のもとにおいては、前記委託契約の清算前に乙が甲を代理して、丙に対し、右預金証書を交付し、丙において甲に代つて定期預金の払戻を受け、該金員をもつて、乙の丙に対する債務の弁済に充当しうる権限を授与したときは、当時、丙において、乙が右権限を有すると信ずるについて正当な理由があつたものというべきである。

参照法条

 民訴法110条

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