裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和23(れ)486
- 事件名
強盗殺人
- 裁判年月日
昭和24年2月1日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
集刑 第7号135頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和23年2月5日
- 判示事項
一 被告人の精神異常と鑑定
二 奪取罪における被害者及び被害物件についての判示の具體性の程度
三 記録編綴に順序不整又は丁數の誤記ある場合と書類の効力
- 裁判要旨
一 被告人の犯行前後の行動に特殊異常の點があり且その近親者に精神病者がある等その精神に異常の伏在する疑が濃厚であるときには、その異常がどの程度であるか普通人の知識を以て容易に知ることができる場合を除いて、裁判所は専門家にその鑑定を命じ、その結果に徴して被告人の精神状態を判斷しなければならないが、被告人にその疑がないときには裁判所は被告人の精神が正常な状態にあるものとして、別段その鑑定を命じないで裁判しても、それを審判手続又は採證の法則に違反するものと云うことはできない。
二 奪取罪は犯人が他人の所有物をその者の支配を侵して奪取するによつて成立するものであるから、かかる犯罪事實を判示するに際し、その被害者が數人あり、盜品の種類、數量等も多種多様であるときは、必ずしもその詳細を逐一明示するを要せず、被害者中或の氏名を表示して他はその員數等を揚げるに止めその種類數量についても、その中比較的重要な物のみを示して他は雑品としてその總數を概略表示する等、これによつて他人の支配を犯してその者の所要物を奪取したことを知り得べき程度に具體的に判示すれば充分であることは、既に當裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第五九六號昭和二三年一〇月一六日小法廷判決)。
三 記録を綴るにあたつて、各書類がその作成又は提出された日時の順に排列整頓されて居らず、又はその丁數に誤記があるとしても、これを以て刑事訴訟法の書類作成の規定に違反すると云うことはできない。(昭和二二年(れ)第一二一號昭和二二年一二月一一日第一小法廷判決)。まして、その書類が無効となつたり又はその證明力がなくなることにはならない。
- 参照法条
舊刑訴法219條,舊刑訴法337條,舊刑訴法410條19號後段,舊刑訴法72條,刑法236條,旧刑訴法360條1項
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