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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和27(あ)5270

事件名

 所得税法違反

裁判年月日

 昭和29年2月23日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集刑 第92号643頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和27年8月11日

判示事項

 一 所得税脱税犯の成立時期と大赦令適用の有無
二 所得税法違反罪における脱税額の判示方

裁判要旨

 一 所論違憲の主張について、その理由とする第一審判決の判示第二の事実に大赦令に当るべき所得税に関するものを包含していてるかどうかを記録によつて調べてみると、大阪国税局告発書脱税額計算書には、過月分給与当月支給額とあつて、昭和二五年四月以降の分について当月とは、四月以降の月を指すこと文理上明らかであるのみならず、給与の支払遅延によつて昭和二五年三月以降の分が支給されたとしても、現実に支給されたのが当月すなわち昭和二五年四月以降であれば、犯罪は現に支給された時に成立するものと解すべきであり、犯罪成立以前においては大赦令適用の余地も存しないものといわなければならない。
二 原判決は脱税額の算出に当り扶養控除を受くべき者の数額を計算していないと主張するけれど、そのような事実は記録上なんら認められないのみならず、源泉徴収義務者の納付額は、所得税法の規定により、控除に当る事項の申告に応じ計算されるのであるから、別に控除額を計算して判示することを要するものではない。

参照法条

 大赦令(昭和27年政令第117号)1条12号,所得税法69条,刑訴法335条

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