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最高裁判所判例集

事件番号

 平成1(オ)1443

事件名

 損害賠償、同附帯

裁判年月日

 平成5年12月17日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集民 第170号797頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

 昭和61(ネ)2142

原審裁判年月日

 平成元年6月20日

判示事項

 水道水中に含まれるフッ素によりその飲用者に斑状歯の被害が生じた場合につき水道の設置・管理の瑕疵及び水道事業を経営する市の担当職員の過失が否定された事例

裁判要旨

 水道水中に含まれるフッ素によりその飲用者に斑状歯の被害が生じた場合に、右水道水中に厚生省令の定める基準値である〇・八PPMを相当超える濃度のフッ素が含まれていたとしても、その程度が著しく高いものではなかったこと、水道水中に含まれるフッ素を原因とする斑状歯の症状としては、特に重症の場合はともかく、美観を損ねるという点にとどまること、被害者の歯の石灰化期に相当する昭和四〇年代には効果的なフッ素の低減技術ないしフッ素除去の方法は確立されていなかったこと、水道事業を経営する市は、昭和三九年ころから人口の急増に伴う水不足に対応するため抜本的な水道事業計画を立て、フッ素濃度の低い水源を選定した上、巨額の費用を投じてダムを完成させ、昭和五五年にはフッ素除去問題を解決したが、それまでの間も水道水中のフッ素の低減ないし除去のため相応の努力を重ねてきたことなど判示の事実関係の下においては、水道の設置又は管理に瑕疵があったとはいえず、また、市の担当職員に過失があったということはできない。

参照法条

 国家賠償法1条1項,国家賠償法2条1項

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