昭和41(オ)712

 約束手形金請求

 昭和42年11月30日

 最高裁判所第一小法廷

 判決

 棄却

 集民　第89号279頁

 広島高等裁判所

 昭和35(ネ)179

 昭和41年3月30日

 一　市長の約束手形振出行為が民法第四四条第一項所定の職務行為にあたるとされた事例
二　市長の約束手形振出権限の有無
三　不法行為による損害賠償請求権の消滅時効の起算点

 一　市長がその権限をこえて自己のために市長名義の約束手形を振り出した場合においても、市長がその手形の白地部分完成前に、二回にわたりその所持人らに対し、その手形が適法に振り出されたものであることを確認しているなど原判決確定の事実関係のもとにおいては、市長の右手形振出行為は、民法第四四条第一項所定の職務行為にあたるというべきである。
二　市長は市を代表して約束手形を振出す権限を有する。
三　不法行為による損害賠償請求権の消滅時効の起算点としての被害者が損害を知つた時とは、単に加害行為により損害が発生したことを知つただけではなく、その加害行為が不法行為を構成することをも知つた時との意味に解するのが相当である。

 民法44条1項，民法724条，地方自治法147条，地方自治法（昭和38年法律99号による改正前のもの）170条　同法，地方自治法239条の2

• 全文