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最高裁判所判例集

事件番号

 平成20(行ヒ)419

事件名

 所得税更正処分取消請求事件

裁判年月日

 平成22年3月30日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 集民 第233号327頁

原審裁判所名

 仙台高等裁判所

原審事件番号

 平成20(行コ)2

原審裁判年月日

 平成20年8月28日

判示事項

 1 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を第三者に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記補償金のうちに上記曳行移転の費用に充てられた金額があるときは,当該金額について所得税法44条の適用を受けるか
2 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を第三者に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記補償金が「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」(昭和38年3月7日用地対策連絡会決定)所定の再築工法によった場合の建物の移転料の算定方法に準ずる方法で算定されたものであり,かつ,上記の建物譲渡が個人に対する無償の譲渡であるときは,上記補償金の金額で上記曳行移転の費用に充てられた金額以外の金額のうちに所得税法44条又は租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条1項の適用を受ける金額があるか

裁判要旨

 1 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を第三者に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記補償金のうちに上記曳行移転の費用に充てられた金額があるときは,当該金額について所得税法44条の適用を受ける。
2 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を第三者に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記補償金が「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」(昭和38年3月7日用地対策連絡会決定)所定の再築工法によった場合の建物の移転料の算定方法に準ずる方法で算定されたものであり,かつ,上記の建物譲渡が個人に対する無償の譲渡であるときは,上記補償金の金額で上記曳行移転の費用に充てられた金額以外の金額のうち,次の(1),(2)の各金額について所得税法44条の適用を受け,(1)の金額については更に租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条3項2号所定の補償金として同条1項の適用を受ける。
(1) 上記建物の現在価額から発生材価額を差し引いた金額に相当する金額
(2) 運用益損失額に相当する金額のうち,上記補償金の支払を受けた個人が代替建物の建築に実際に要した費用の額が上記曳行移転に係る従前の建物の現在価額を超える場合における当該超える金額に係る当該従前の建物の耐用年数満了時までの運用益に相当する部分
「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」所定の再築工法
:残地以外の土地に従前の建物と同種同等の建物を建築し,又は残地に従前の建物と同種同等の建物若しくは従前の建物に照応する建物を建築する工法
上記細則所定の再築工法によった場合の建物の移転料の算定方法
:次に掲げる式により算定した額とする。
建物の現在価額+運用益損失額+取壊し工事費−発生材価額
運用益損失額:従前の建物の推定再建築費と従前の建物の現在価額との差額に係る従前の建物の耐用年数満了時までの運用益に相当する額

参照法条

 (1,2につき)所得税法44条,所得税法施行令(平成16年政令第100号による改正前のもの)93条(2につき)租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条1項2号,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条3項2号,租税特別措置法施行令(平成16年政令第105号による改正前のもの)22条16項2号

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