裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成20(あ)920
- 事件名
業務上過失傷害被告事件
- 裁判年月日
平成22年10月26日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
決定
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第64巻7号1019頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成18(う)1318
- 原審裁判年月日
平成20年4月11日
- 判示事項
航行中の航空機同士の異常接近事故について,便名を言い間違えて降下の管制指示をした実地訓練中の航空管制官及びこれを是正しなかった指導監督者である航空管制官の両名に業務上過失傷害罪が成立するとされた事例
- 裁判要旨
航行中の航空機甲機及び乙機が著しく接近し,両機の衝突を避けるために急降下した甲機の乗客らが負傷した事故について,実地訓練中の航空管制官において両機が異常接近しつつあることを知らせる警報を認知して巡航中の乙機を降下させることを意図しながら便名を言い間違えて上昇中の甲機に対し降下指示をし,その指導監督者である航空管制官においてこれに気付かず直ちに是正をしなかったことは,ほぼ同じ高度から甲機が同指示に従って降下すると同時に乙機も航空機衝突防止装置により発せられる降下指示に従って降下し,両機の接触,衝突等を引き起こす高度の危険性を有する行為であって,これと上記事故との間の因果関係も認められ,かつ,上記航空管制官両名において,両機が共に降下を続けて異常接近し,両機の機長が接触,衝突を回避するため急降下を含む何らかの措置を余儀なくされることを予見できたという本件事実関係(判文参照)の下では,上記航空管制官両名につき,両機の接触,衝突等の事故の発生を未然に防止するという業務上の注意義務を怠った過失があったものとして,それぞれ業務上過失傷害罪が成立する。
(補足意見,反対意見がある。)
- 参照法条
刑法(平成13年法律第138号による改正前のもの)211条前段
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