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最高裁判所判例集

事件番号

 平成21(受)65

事件名

 損害賠償請求事件

裁判年月日

 平成23年2月25日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄自判

判例集等巻・号・頁

 集民 第236号183頁

原審裁判所名

 広島高等裁判所

原審事件番号

 平成19(ネ)114

原審裁判年月日

 平成20年10月10日

判示事項

 適切な医療行為を受ける期待権の侵害のみを理由とする整形外科医の不法行為責任の有無を検討する余地がないとされた事例

裁判要旨

 整形外科医が,自ら執刀した下肢の骨接合術等の手術後の合併症として下肢深部静脈血栓症を発症しその後遺症が残った患者につき,その訴えた足の腫れ等の症状の原因が同血栓症にあることを疑うには至らず,血管疾患を扱う専門医に紹介するなどしなかったとしても,次の(1)〜(3)など判示の事実関係の下では,上記整形外科医の医療行為が著しく不適切なものであったということはできず,上記整形外科医につき,適切な医療行為を受ける期待権の侵害のみを理由とする不法行為責任の有無を検討する余地はない。
(1) 上記患者は,上記手術時に装着されたボルトの抜釘後は,手術後約9年を経過した後の診察時まで,上記症状を訴えることはなかった。
(2) 上記整形外科医は,上記診察時の訴えに対し,レントゲン検査等を行うなどした。
(3) 上記診察当時,下肢の手術に伴う深部静脈血栓症の発症の頻度が高いことが我が国の整形外科医において一般に認識されていたわけではなかった。

参照法条

 民法709条

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