裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成21(あ)1060
- 事件名
危険運転致死傷,道路交通法違反被告事件
- 裁判年月日
平成23年10月31日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
決定
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第65巻7号1138頁
- 原審裁判所名
福岡高等裁判所
- 原審事件番号
平成20(う)91
- 原審裁判年月日
平成21年5月15日
- 判示事項
1 刑法(平成19年法律第54号による改正前のもの)208条の2第1項前段にいう「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」の意義
2 飲酒酩酊状態にあった被告人が直進道路において高速で自動車を運転中,先行車両に追突し,死傷の結果を生じさせた事案につき,被告人はアルコールの影響により前方を注視してそこにある危険を的確に把握して対処することができない状態にあったとして,危険運転致死傷罪が成立するとされた事例
- 裁判要旨
1 刑法(平成19年法律第54号による改正前のもの)208条の2第1項前段の「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」とは,アルコールの影響により道路交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態をいい,アルコールの影響により前方を注視してそこにある危険を的確に把握して対処することができない状態もこれに当たる。
2 飲酒酩酊状態にあった被告人が直進道路において高速で普通乗用自動車を運転中,先行車両の直近に至るまでこれに気付かず追突し,その衝撃により同車両を橋の上から海中に転落・水没させ,死傷の結果を発生させた事案において,追突の原因が,被告人が先行車両に気付くまでの約8秒間終始前方を見ていなかったか又はその間前方を見てもこれを認識できない状態にあったかのいずれかであり,いずれであってもアルコールの影響により前方を注視してそこにある危険を的確に把握して対処することができない状態にあったと認められるときは,アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させたものとして,危険運転致死傷罪が成立する。
(2につき補足意見,反対意見がある。)
- 参照法条
刑法(平成19年法律第54号による改正前のもの)208条の2第1項前段
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