裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成21(あ)359
- 事件名
業務上過失致死傷被告事件
- 裁判年月日
平成24年2月8日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
決定
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第66巻4号200頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成20(う)432
- 原審裁判年月日
平成21年2月2日
- 判示事項
1 トラックのハブが走行中に輪切り破損したために前輪タイヤ等が脱落し,歩行者らを死傷させた事故について,同トラックの製造会社で品質保証業務を担当していた者において,同種ハブを装備した車両につきリコール等の改善措置の実施のために必要な措置を採るべき業務上の注意義務があったとされた事例
2 トラックのハブが走行中に輪切り破損したために前輪タイヤ等が脱落し,歩行者らを死傷させた事故と,同種ハブを装備した車両につきリコール等の改善措置の実施のために必要な措置を採るべき業務上の注意義務に違反した行為との間に因果関係があるとされた事例
- 裁判要旨
1 トラックのハブが走行中に輪切り破損したために前輪タイヤ等が脱落し,歩行者らに衝突して死傷させた事故について,以前の類似事故事案を処理する時点で,ハブの強度不足のおそれが客観的に認められる状況にあり,そのおそれの強さや,予測される事故の重大性,多発性に加え,同トラックの製造会社が事故関係の情報を一手に把握していたなどの本件事実関係(判文参照)の下では,その時点で同社の品質保証部門の部長又はグループ長の地位にあり品質保証業務を担当していた者には,同種ハブを装備した車両につきリコール等の改善措置の実施のために必要な措置を採り,強度不足に起因するハブの輪切り破損事故が更に発生することを防止すべき業務上の注意義務があった。
2 トラックのハブが走行中に輪切り破損したために前輪タイヤ等が脱落し,歩行者らに衝突して死傷させた事故について,同種ハブを装備した車両につきハブの強度不足のおそれ等からリコール等の改善措置の実施のために必要な措置を採るべき業務上の注意義務があり,同義務を尽くすことによって同事故の回避可能性を肯定し得る場合において,同事故がハブの強度不足に起因するとは認められないのであれば,同事故と上記義務違反との間の因果関係を認めることはできないが,同事故がハブの強度不足に起因して生じたものと認められる判示の事情の下においては,上記義務違反に基づく危険が現実化したものとして,同事故と上記義務違反との間に因果関係がある。
(1,2につき反対意見がある。)
- 参照法条
(1,2につき)刑法(平成13年法律第138号による改正前のもの)211条前段
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