裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成23(行ケ)10426
- 事件名
審決取消請求事件
- 裁判年月日
平成24年5月31日
- 法廷名
知的財産高等裁判所
- 裁判種別
- 結果
- 判例集等巻・号・頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
- 判示事項
- 裁判要旨
判決年月日
平成24年5月31日
担
当
部
知的財産高等裁判所 第3部
事件番号 事件番号
平成23年(行ケ)10426号
○「Lambormini」との欧文字と図形部分からなる商標は,商標法4条1項10号,15号,19号に当たるとして,無効不成立審決が取り消された事例。
(関連条文)商標法4条1項10号,15号,19号
原告は,欧文字「Lambormini」が,立体的に見えるように陰影を付した筆記体(斜体)により,上向きに弧を描くように横書きされた文字部分と,「Lambormini」の中央「o」の文字の上部から,S字状に細長く上方に伸び,さらに先端部は丸みを帯びてふくらんだ特有の形状(右側下に細い切り欠きがある)が付された,全体として動物の尾のように描かれた図形部分からなる商標(本件商標)について,商標法4条1項7号,10号,15号,19号に違反して登録されたものであると主張して,無効審判請求をしたが,特許庁は,無効不成立審決をした。本件は,原告が,同審決の取消しを求めた事案である。
本判決は,下記のとおり判示し,本件商標は,商標法4条1項10号,15号,19号に当たるとして,無効不成立審決を取り消した。すなわち,
(1) 商標法4条1項10号該当性について
原告は,1962年にイタリアで設立された自動車会社であり,主に高級スポーツカーを製造,販売しており世界的に著名であり,原告の製造に係る自動車は,日本においても,1970年代に「カウンタック」などがスーパーカーなどと呼ばれて人気となり,原告の名称の一部である「LAMBORGHINI」との引用商標も,原告又は原告の業務に係る商品「自動車(スーパーカー)」を表示するものとして,「ランボルギーニ」と称呼され,日本国内の自動車の取引業者や愛好家の間においても広く認識されている。
また,本件商標と引用商標は,本件商標の文字部分10文字中9文字が引用商標と共通すること,称呼において,相違する1音が母音構成を同じくする近似音であり類似すること,外観においても,若干の相違があるものの,全体として類似することに加え,原告及び被告の各商標の使用状況等取引の実情等を総合して判断すると,本件商標と引用商標は,互いに類似する商標である。
以上によれば,本件商標は,他人の業務に係る商品(自動車)を表示するものとして,需要者の間に広く認識されている引用商標に類似する商標であって,その商品(自動車)に使用をするものに該当すると認められる。
したがって,本件商標は,商標法4条1項10号に該当する。
(2) 商標法4条1項15号該当性について
また,原告は,本件商標の出願以前から現在に至るまで,引用商標である「LAMBORGHINI」等の商標を使用して,「自動車(スーパーカー)」を製造,販売する業務を行っていること,本件商標は,引用商標と類似する商標であり,その指定商品に引用商標が使用されているのと同一商品(自動車)を含むこと,被告は,「Lambormini」や「ランボルミーニ」との商標を使用して,原告の製造,販売に係る自動車を模したカスタムバギーを製造,販売していること等を総合すると,本件商標は,他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのある商標に該当すると認められる。
したがって,仮に本件商標が商標法4条1項10号に該当しないとしても,同条同項15号に該当する。
(3) 商標法4条1項19号該当性について
さらに,被告は,原告が世界的に著名な自動車メーカーであり,引用商標も原告の業務に係る商品(自動車)を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることや,かかる引用商標と本件商標が類似の商標であることを認識しながら,自動車等を指定商品等とする本件商標登録を行い,実際に「Lambormini」や「ランボルミーニ」との商標を使用して,原告の製造,販売に係る自動車を模したカスタムバギーを製造,販売していることが認められる。そうすると,本件商標は,被告が,不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認められる。
したがって,仮に本件商標が商標法4条1項10号,15号に該当しないとしても,同条同項19号に該当する。
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- 参照法条
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