裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成27(受)766
- 事件名
損害賠償請求事件
- 裁判年月日
平成28年9月6日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
集民 第253号119頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成25(ネ)7065
- 原審裁判年月日
平成27年1月21日
- 判示事項
匿名組合契約の営業者が新たに設立される株式会社に出資するなどし,同社が営業者の代表者等から売買により株式を取得した場合において,営業者に匿名組合員に対する善管注意義務違反はないとした原審の判断に違法があるとされた事例
- 裁判要旨
匿名組合契約の営業者であるY1社が,その営業として,新たに設立される株式会社A社の資本金の8割を出資し,A社の発行する新株予約権付社債を引き受け,A社がY1社の代表取締役であるY2及びその弟であるY3から売買によりB社株式を取得した場合において,次の(1)及び(2)など判示の事情の下では,上記の出資,引受け及び売買に係る匿名組合員であるXの承諾の有無について審理判断することなく,Y1社に善管注意義務違反はないとした原審の判断には,違法がある。
(1) 上記売買は,Y1社らがA社設立時に予定し,A社の代表取締役であるY3において実行したものであり,上記の出資,引受け及び売買はY1社による一連の行為といえるところ,上記一連の行為は,これによりY1社に生ずる損益が匿名組合契約に基づき全部Xに分配されるものであり,Y2及びY3とXとの間に実質的な利益相反関係が生ずるものであった。
(2) 上記売買の売主であるY2及びY3が買主であるA社の取締役や代表取締役であること,B社株式に市場価格はなくXが売買代金額の決定に関与する機会もないこと,上記の出資及び引受けの合計額は1億8000万円であり,上記売買の代金額は1億5000万円であって,いずれも匿名組合契約に基づくXの出資額である3億円の2分の1以上に及ぶものであることに照らすと,上記一連の行為はXの利益を害する危険性の高いものであった。
(補足意見がある。)
- 参照法条
商法535条,民法415条
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