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最高裁判所判例集

事件番号

 平成28(行ヒ)233

事件名

 審決取消請求事件

裁判年月日

 平成29年12月12日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第71巻10号1958頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成27(行ケ)37

原審裁判年月日

 平成28年1月29日

判示事項

 1 日本国外で合意されたテレビ用ブラウン管の販売価格に係るカルテルを行った事業者に対し,我が国の独占禁止法の課徴金納付命令に関する規定の適用があるとされた事例
2 日本国外で合意された販売価格に係るカルテルの対象であるテレビ用ブラウン管が外国法人に販売され日本国外で引渡しがされた場合において,当該ブラウン管の売上額が独占禁止法7条の2第1項所定の当該商品の売上額に当たるとされた事例

裁判要旨

 1 我が国のテレビ製造販売業者の日本国外に所在する子会社等に対するテレビ用ブラウン管の販売価格についてテレビ用ブラウン管の製造販売業を営む事業者らが行ったカルテルが日本国外で合意されたものである場合において,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,当該カルテルは我が国の自由競争経済秩序を侵害するものであり,これを行った事業者に対し,我が国の独占禁止法の課徴金納付命令に関する規定の適用がある。
(1) 我が国のテレビ製造販売業者は,自社及びその子会社等が行うブラウン管テレビの製造販売業を統括し,日本国外に所在するブラウン管テレビの製造を行う子会社等に対して製造等を指示し,これに従って当該子会社等が製造したブラウン管テレビの全部又は相当部分を自社又は子会社等において購入した上で販売していた。
(2) 我が国のテレビ製造販売業者は,上記(1)のとおりブラウン管テレビの製造販売業を行う一環として,その基幹部品であるブラウン管の購入先,購入価格,購入数量等の重要な取引条件を決定し,その購入を日本国外に所在するブラウン管テレビの製造を行う子会社等に指示し,当該子会社等に当該カルテルを行った事業者らからブラウン管を購入させていた。
(3) 我が国のテレビ製造販売業者は,当該カルテルを行った事業者らとの間で,テレビ用ブラウン管の取引条件に係る交渉を自ら直接行っていたところ,当該カルテルは,その交渉において上記事業者らが提示する販売価格を拘束するものであった。
2 我が国のテレビ製造販売業者の日本国外に所在する子会社等に対するテレビ用ブラウン管の販売価格についてテレビ用ブラウン管の製造販売業を営む事業者らが行ったカルテルが日本国外で合意されたものであり,当該カルテルの対象であるテレビ用ブラウン管が当該事業者らにより当該子会社等に販売され日本国外で引渡しがされた場合において,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,当該ブラウン管の売上額は,独占禁止法7条の2第1項所定の当該商品の売上額に当たる。
(1) 我が国のテレビ製造販売業者は,自社及びその子会社等が行うブラウン管テレビの製造販売業を統括し,日本国外に所在するブラウン管テレビの製造を行う子会社等に対して製造等を指示し,これに従って当該子会社等が製造したブラウン管テレビの全部又は相当部分を自社又は子会社等において購入した上で販売していた。
(2) 我が国のテレビ製造販売業者は,上記(1)のとおりブラウン管テレビの製造販売業を行う一環として,その基幹部品であるブラウン管の購入先,購入価格,購入数量等の重要な取引条件を決定し,その購入を日本国外に所在するブラウン管テレビの製造を行う子会社等に指示し,当該子会社等に当該カルテルを行った事業者らからブラウン管を購入させていた。
(3) 我が国のテレビ製造販売業者は,当該カルテルを行った事業者らとの間で,テレビ用ブラウン管の取引条件に係る交渉を自ら直接行っていたところ,当該カルテルは,その交渉において上記事業者らが提示する販売価格を拘束するものであった。

参照法条

 (1,2につき) (独占禁止法)私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律7条の2第1項
(1につき) (独占禁止法)私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律1条,(独占禁止法)私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条6項,(独占禁止法)私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律3条
(2につき) 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令5条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令6条

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