裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成29(受)347
- 事件名
地位確認等請求事件
- 裁判年月日
平成30年9月14日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
集民 第259号89頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成27(ネ)4778
- 原審裁判年月日
平成28年10月5日
- 判示事項
1 郵便関連業務に従事する期間雇用社員について満65歳に達した日以後は有期労働契約を更新しない旨の就業規則の定めが労働契約法7条にいう合理的な労働条件を定めるものであるとされた事例
2 郵政民営化法に基づき設立されて日本郵政公社の業務等を承継した株式会社がその設立時に定めた就業規則により同公社当時の労働条件を変更したものとはいえないとされた事例
3 期間雇用社員に係る有期労働契約が雇止めの時点において実質的に期間の定めのない労働契約と同視し得る状態にあったということはできないとされた事例
- 裁判要旨
1 郵便関連業務に従事する期間雇用社員について満65歳に達した日以後は有期労働契約を更新しない旨の就業規則の定めは,次の⑴,⑵など判示の事情の下においては,労働契約法7条にいう合理的な労働条件を定めるものである。
⑴ 上記期間雇用社員の従事する業務は屋外業務,立った状態での作業,機動車の乗務,機械操作等であるところ,当該就業規則の定めは,高齢の期間雇用社員について,これらの業務に対する適性が加齢により逓減し得ることを前提に,その雇用管理の方法を定めたものである。
⑵ 当該就業規則の定めの内容は,高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に抵触するものではない。
2 日本郵政公社の非常勤職員であった者が郵政民営化法に基づき設立されて同公社の業務等を承継した株式会社と有期労働契約を締結して期間雇用社員として勤務している場合において,当該株式会社は,当該株式会社が同公社とは法的性格を異にしていること,当該者が同公社の解散する前に同公社を退職していることなど判示の事情の下においては,期間雇用社員について満65歳に達した日以後は有期労働契約を更新しない旨をその設立時の就業規則に定めたことにより,同公社当時の労働条件を変更したものということはできない。
3 期間雇用社員に係る有期労働契約は,満65歳に達した日以後は有期労働契約を更新しない旨の就業規則の定めが当該労働契約の内容になっていること,期間雇用社員が雇止めの時点で満65歳に達していたことなど判示の事情の下においては,当該時点において,実質的に期間の定めのない労働契約と同視し得る状態にあったということはできない。
- 参照法条
(1につき)労働契約法7条,高年齢者等の雇用の安定等に関する法律8条,高年齢者等の雇用の安定等に関する法律9条1項
(2につき)労働契約法10条,郵政民営化法167条
(3につき)労働契約法19条1号
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