裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成30(受)269
- 事件名
損害賠償請求事件
- 裁判年月日
平成31年3月12日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄自判
- 判例集等巻・号・頁
集民 第261号107頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成28(ネ)1528
- 原審裁判年月日
平成29年9月28日
- 判示事項
統合失調症により精神科の医師の診療を受けていた患者が中国の実家に帰省中に自殺した場合において,上記医師に上記患者の自殺を防止するために必要な措置を講ずべき義務があったとはいえないとされた事例
- 裁判要旨
統合失調症により精神科の医師の診療を受けていた患者が中国の実家に帰省中に自殺した場合において,上記医師は,抗精神病薬の服薬量の減量を治療方針として上記患者の診療を継続し,これにより上記患者の症状が悪化する可能性があることを認識していたとしても,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,上記患者の自殺を具体的に予見することができたとはいえず,上記医師に上記患者の自殺を防止するために必要な措置を講ずべき義務があったとはいえない。
(1) 上記患者は,実家に帰省した後,自殺の13日前までの2箇月以上の間,希死念慮を表明したことはあったものの,自殺を図るため具体的な行動に及んだことはうかがわれない。
(2) 上記医師は,上記患者が実家に帰省した後,上記患者を直接診察することができず,その言動を直接観察する機会もなかった。
(3) 上記患者の自殺の13日前に上記患者の夫から上記医師に送信された電子メールには,上記患者に希死念慮が強く出ていて危険である旨を記載した部分があるものの,上記患者の具体的な言動としては,「これからは3人で生きて下さい」と発言した旨が記載されていたにすぎない。
- 参照法条
民法709条
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