裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成31(受)6
- 事件名
損害賠償請求事件
- 裁判年月日
令和2年3月6日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
民集 第74巻3号149頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成29(ネ)5340
- 原審裁判年月日
平成30年9月19日
- 判示事項
中間省略登記の方法による不動産の所有権移転登記の申請の委任を受けた司法書士に,当該登記の中間者との関係において,当該司法書士に正当に期待されていた役割の内容等について十分に審理することなく,直ちに注意義務違反があるとした原審の判断に違法があるとされた事例
- 裁判要旨
所有名義人がAである不動産について,Aを売主,Bを買主とする売買契約,Bを売主,Xを買主とする売買契約,Xを売主,Cを買主とする売買契約が順次締結され,AからBへの所有権移転登記の申請(以下「前件申請」という。)及びBから中間省略登記の方法によるCへの所有権移転登記の申請(以下「後件申請」という。)が同時にされたが,前件申請が申請の権限を有しない者による申請であることが判明して後件申請が取り下げられ,XがB及びCから後件申請の委任を受けた司法書士であるYに対し司法書士としての注意義務違反があるとして不法行為に基づく損害賠償請求をした場合において,Yが,前件申請及び後件申請に用いるべき書面の確認等が予定されている会合に出席し,Aの印鑑証明書として提示された2通の書面に記載された生年に食違いがあること等の問題点を認識していたとしても,次の⑴~⑷など判示の事情の下では,Xとの関係においてYに正当に期待されていた役割の内容や関与の程度等について十分に審理することなく,直ちにYに上記注意義務違反があるとした原審の判断には,違法がある。
⑴ Yが後件申請の委任を受けた当時,上記各売買契約並びに前件申請及び後件申請に係る各登記の内容等は既に決定されていた。
⑵ Yは,前件申請が申請人となるべき者による申請であるか否かについての調査等をする具体的な委任は受けていなかった。
⑶ 前件申請については弁護士が委任を受けており,上記委任に係る委任状には,委任者であるAが人違いでないことを証明させた旨の公証人による認証が付されていた。
⑷ Xは不動産業者であり,Xの代表者は,Xの依頼した不動産仲介業者等と共に上記会合に出席し,これらの者と共に上記問題点等を確認していた。
(意見がある。)
- 参照法条
民法709条
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