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最高裁判所判例集

事件番号

 平成29(あ)829

事件名

 わいせつ電磁的記録等送信頒布,わいせつ電磁的記録記録媒体頒布被告事件

裁判年月日

 令和2年7月16日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第74巻4号343頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成28(う)1100

原審裁判年月日

 平成29年4月13日

判示事項

 1 行為者によって頒布された電磁的記録又は電磁的記録に係る記録媒体について,芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の有無・程度をも検討しつつ,刑法175条のわいせつな電磁的記録又はわいせつな電磁的記録に係る記録媒体に該当するか否かを判断するに当たっての検討及び判断の方法
2 刑法175条のわいせつな電磁的記録に該当する女性器の三次元形状データファイル又は同データが記録されたCD-Rを頒布した被告人の行為について,正当行為として違法性が阻却されるものではないとされた事例

裁判要旨

 1 行為者によって頒布された電磁的記録又は電磁的記録に係る記録媒体について,芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の有無・程度をも検討しつつ,刑法175条のわいせつな電磁的記録又はわいせつな電磁的記録に係る記録媒体に該当するか否かを判断するに当たっては,電磁的記録が視覚情報であるときには,同記録を視覚化したもののみを見て,これらの検討及び判断をするのが相当である。
2 刑法175条のわいせつな電磁的記録に該当する女性器の三次元形状データファイル又は同データが記録されたCD-Rを頒布した被告人の行為は,女性器に対する卑わいな印象を払拭し,女性器を表現することを日常生活に浸透させたいという思想に基づくものであるということや,同データの頒布が被告人の作品制作に資金を提供する者に対し資金提供という方法で作品制作に参加する機会を与えるものであるということ,同データ又は同CD-Rの頒布がそれらの提供を受けた者に対し同データを加工して創作をする機会を与えるものであるということによって正当行為として違法性が阻却されるものではない。

参照法条

 憲法21条,憲法31条,刑法175条,刑法35条

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