裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
令和1(受)1900
- 事件名
開示禁止処分等請求事件
- 裁判年月日
令和2年11月27日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
集民 第264号393頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成30(ネ)5150
- 原審裁判年月日
令和元年7月17日
- 判示事項
公認会計士協会から上場会社監査事務所名簿への登録を認めない旨の決定を受けた公認会計士らにつき,その実施した監査手続が当該監査において識別すべきリスクに個別に対応したものであったか否か等の点を十分に検討することなく当該決定の前提となる監査の基準不適合の事実はないとして当該決定の開示の差止めを認めた原審の判断に違法があるとされた事例
- 裁判要旨
公認会計士協会の設置する品質管理委員会から上場会社監査事務所名簿への登録を認めない旨の決定を受けた公認会計士らが上記決定の開示の差止めを求めた場合において,次の⑴~⑶など判示の事情の下では,上記公認会計士らが実施した監査手続が,現金元帳と通帳及び領収書等との突合を監査対象期間の一部に限定して実施したこと等において,現金等に関する特別な検討を必要とするリスクに個別に対応したものであり,高いリスクの下で十分かつ適切な監査証拠を入手するに足りるものであったといえるか否かの点を検討することなく,上記公認会計士らにつき「品質管理の基準が求める個々の監査業務における品質管理の手続を実施していない事実」に該当する事実はないから上記決定はその前提となる事実を欠くものであるとして上記差止めを認めた原審の判断には,違法がある。
⑴ 上記公認会計士らと監査契約を締結した会社は,上記公認会計士らによる監査の以前から,連続して営業損失を計上し,営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなるなどしていた。
⑵ 上記会社においては,1億円程度に上る多額の現金を保有することが常態化していた。
⑶ 上記会社が上記公認会計士らに対して上記現金の所在を明らかにしなかったため,上記公認会計士らは監査対象事業年度末に予定していた現金の実在性の確認を行うことができなかった。
(補足意見がある。)
- 参照法条
民訴法247条
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