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最高裁判所判例集

事件番号

 平成30(受)1961

事件名

 損害賠償請求事件

裁判年月日

 令和2年12月22日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 その他

判例集等巻・号・頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成29(ネ)1110

原審裁判年月日

 平成30年3月23日

判示事項

 1 有価証券届出書の財務計算に関する書類に係る部分に虚偽記載等がある場合に当該有価証券の募集に係る発行者等と元引受契約を締結した金融商品取引業者等が金融商品取引法21条1項4号の損害賠償責任につき同条2項3号による免責を受けるための要件
2 株式の上場に当たり提出された有価証券届出書のうち当該上場の最近事業年度及びその直前事業年度の財務諸表に虚偽記載があった場合において当該株式の発行者等と元引受契約を締結した金融商品取引業者の金融商品取引法21条1項4号の損害賠償責任につき同条2項3号による免責が否定された事例

裁判要旨

 1 有価証券届出書の金融商品取引法193条の2第1項に規定する財務計算に関する書類に係る部分のうちに重要な事項について虚偽の記載があり,又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けている場合に,当該有価証券の募集に係る発行者又は売出しに係る所有者と元引受契約を締結した金融商品取引業者又は登録金融機関が,引受審査に際して,当該財務計算に関する書類につき監査証明を行った公認会計士又は監査法人による監査の信頼性の基礎に重大な疑義を生じさせる情報に接していたときには,当該金融商品取引業者等は,当該疑義の内容等に応じて,当該監査が信頼性の基礎を欠くものではないことにつき調査確認を行ったものでなければ,同法21条1項4号の損害賠償責任につき,同条2項3号による免責を受けることはできない。
2 株式の上場に当たり提出された有価証券届出書のうち当該上場の最近事業年度及びその直前事業年度の財務諸表の売上高欄に虚偽記載があった場合に,次の⑴~⑹など判示の事情の下においては,当該株式の発行者である会社等と元引受契約を締結した金融商品取引業者は,金融商品取引法21条1項4号の損害賠償責任につき,同条2項3号による免責を受けることはできない。
⑴ 上記金融商品取引業者は,上記会社の引受審査に際して,2回にわたり,上記会社の売上げの大半が架空計上によるものであることを指摘する投書を受け取っていた。
⑵ 上記各投書は,上記会社が売上高の粉飾の典型的兆候といえる複数の事象が継続してみられる状況にあったこととよく符合する内容のものであり,上記会社の売上高等について上記金融商品取引業者の把握している事実関係と合致する記載がされ,粉飾決算の手法等を具体的かつ詳細に指摘するものであった。
⑶ 上記金融商品取引業者は,上記会社の主幹事会社としてその引受審査に当たってきたものであった。
⑷ 上記金融商品取引業者は,1回目の投書の受取の後,当該投書において上記粉飾決算を主導している旨指摘されていた上記会社の役員に対して直ちに当該投書の内容を伝え,その作成者と思われる者が上記会社の内部監査室長を務めていた者であったにもかかわらず,2回目の投書の受取の後も,その者から事情を聴取するなどの調査確認を行わなかった。
⑸ 上記金融商品取引業者が上記財務諸表につき監査証明を行った公認会計士から聴取した監査手続は上記各投書の指摘する手法による粉飾決算の可能性に対応したものではなく,また,上記金融商品取引業者は,当該監査手続において証ひょう類の原本確認が行われたか否かすら具体的に確認しなかった。
⑹ 上記金融商品取引業者が引受審査において実施した調査は,上記会社の提案に従い選定された取引先の訪問調査及び売上げに関する証ひょう類の写しの相互に矛盾がないことの確認等にとどまるものであった。

参照法条

 金融商品取引法21条1項4号,金融商品取引法21条2項3号,金融商品取引法193条の2第1項

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