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最高裁判所判例集

事件番号

 令和5(受)1583

事件名

 発信者情報開示等請求事件

裁判年月日

 令和6年12月23日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 その他

判例集等巻・号・頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

 令和4(ネ)2431

原審裁判年月日

 令和5年5月11日

判示事項

 1 プロバイダ責任制限法(令和3年法律第27号による改正後のもの)5条2項の規定は、権利の侵害を生じさせた特定電気通信及び当該特定電気通信に係る侵害関連通信が令和3年法律第27号の施行前にされたものである場合にも適用されるか
2 インターネットを利用した情報ネットワーク上のアカウントにおいて他人の権利を侵害する投稿がされた後、上記投稿をした者によって上記アカウントにログインするための通信がされた場合において、上記通信が、上記投稿との関係で、プロバイダ責任制限法施行規則5条柱書きにいう「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に当たるとされた事例
3 インターネットを利用した情報ネットワーク上のアカウントにおいて他人の権利を侵害する投稿がされた後、上記投稿をした者によって上記アカウントにログインするための通信がされた場合において、上記通信が、上記投稿との関係で、プロバイダ責任制限法施行規則5条柱書きにいう「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に当たるとはいえないとされた事例

裁判要旨

 1 プロバイダ責任制限法(令和3年法律第27号による改正後のもの)5条2項の規定は、権利の侵害を生じさせた特定電気通信及び当該特定電気通信に係る侵害関連通信が令和3年法律第27号の施行前にされたものである場合にも適用される。
2 インターネットを利用した情報ネットワーク上のアカウントにおいて他人の権利を侵害する投稿がされた後、上記投稿をした者によって上記アカウントにログインするための8回の通信が同一の経由プロバイダの提供するインターネット接続サービスを利用してされた場合において、⑴上記投稿と上記各通信との関連性の程度を示す事情は両者の時間的近接性以外にうかがわれないこと、⑵上記各通信の中では上記投稿の21日後にされた1回の通信が上記投稿と最も時間的に近接すること、⑶上記アカウントにおいては、上記投稿がされてから上記各通信がされるまでの間に、上記経由プロバイダの提供するインターネット接続サービスを利用した2回のログインのための通信がされているものの、上記経由プロバイダは、自らが保有する通信記録の中からこれらの2回の通信に対応するものを特定できなかったことという判示の事情の下では、上記1回の通信は、上記投稿との関係で、プロバイダ責任制限法施行規則5条柱書きにいう「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に当たる。
3 インターネットを利用した情報ネットワーク上のアカウントにおいて他人の権利を侵害する投稿がされた後、上記投稿をした者によって上記アカウントにログインするための8回の通信が同一の経由プロバイダの提供するインターネット接続サービスを利用してされた場合において、⑴上記投稿と上記各通信との関連性の程度を示す事情は両者の時間的近接性以外にうかがわれないこと、⑵上記経由プロバイダは、上記各通信の中で上記投稿と最も時間的に近接するものに係る発信者情報を保有しており、これに加えて、あえてその余の7回の通信に係る情報の開示を求める必要性を基礎付ける事情はうかがわれないことという判示の事情の下では、上記7回の通信は、上記投稿との関係で、プロバイダ責任制限法施行規則5条柱書きにいう「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に当たるとはいえない。

参照法条

 (1~3につき)特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)(令和3年法律第27号による改正後のもの)5条
(1につき)特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)(令和3年法律第27号による改正前のもの)4条1項、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律(令和3年法律第27号)附則2条
(2、3につき)特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則(プロバイダ責任制限法施行規則)5条

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