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高等裁判所 判例集

事件番号

 平成7(の)1

事件名

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反、同幇助被告事件

裁判年月日

 平成8年5月31日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第三特別部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第49巻2号320頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一 指名競争入札の方法により発注される工事につき発注者側担当者が関与して行われた受注調整に関する受注事業者間の合意が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律三条の「不当な取引制限」に当たるとされた事例
二 受注調整に関する従前の合意に基づいて行われた新たな合意が別個に私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律三条の「不当な取引制限」に当たるとされた事例

裁判要旨

 一 日本下水道事業団が指名競争入札の方法により発注する多数の下水道事業の電気設備工事につき、受注事業者間で受注調整の合意をするに際し、事業団の担当者がシェア枠による受注調整システムの導入を提案し、あるいは合意内容の変更を要請をしたこと等があっても、各受注事業者が自己の利害計算に基づいた対応をとっていたこと等の事情(判文参照)があるときは、右合意は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律三条の「不当な取引制限」に当たる。
二 既に受注調整に関する合意が成立していた場合であっても、各年度ごとにその見直しが行われていたなどの事情(判文参照)の下では、新たな年度の受注調整に関する合意は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律三条の「不当な取引制限」に当たり、これをもって不可罰的事後行為と見ることはできない。

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